安所通りの殺人[PC]
■ストーリー
安所通り沿いにて早朝、全裸の女性死体が発見される。
事件の手がかりとなるのは、女性の傍に遺された両徳学園学生証。
主人公は警視庁捜査一課に所属する高原祐介警部補となり事件を捜査していく。
■ゲームについて
コミックメーカーで作成されたオーソドックスなコマンド式のアドベンチャーゲームね。レトロ感満載だけど、今のゲームには無い感じが逆に良かったわ。
基本操作は「移動する」「話す」「調べる」の3つで、一つ一つフラグを立たせて、物語を進めていくの。
私は途中までコマンド選択によって時間経過はあると思ってたけど、特に色々とコマンドを試してみてもペナルティは無かったわ。ただし一部、時間制限付きのコマンドも用意されているから気をつけてね。
まあそんな訳で良くも悪くも「総当たり」なゲームね。実況中にはよく「ローラー作戦」って私は言ってたんだけど(大幅にカット)、ほんと一つ一つのコマンドをチェックして行かなくちゃならないのよね。
最初はそれでも良かったんだけど、途中からは明らかに意地悪な部分が幾つかあり、事件や人々の話を聞いていても「その場所調べるとか分かんないよ!」というフラグ立てシーンが数回あり、そこで足止めを食ってしまって大変だったわ。
謎を解き明かしたいと逸るこっちの気持ちと、ゲーム性がここは結びついていなかったと思う
■シナリオ
刑事モノの推理となると硬派になりがちだけど、主人公の高原くんや「でし」でお馴染みの大石のじいさんの御陰でお硬く暗い雰囲気がマイルドに仕上がっているのが素敵よ。
そして推理もののシナリオと言えばやはりトリックや犯人が大切なんだけど、これもしっかり練られていて素晴らしかった!
前半から幾つもの何気ない会話からの伏線が貼られていて、それらが絶妙に絡み合って核心へと近づいていくんだけれど、その過程でも状況が二転三転し、どう転がっていくか目が離せなかったわ。
ただ気になったのは、一部、事件が急に進むシーンがあるのだけれど、それが「一人の男性の記憶力が凄く良くて、そこから動き出す」のよね。もう少し、ゆっくりと中盤の展開が明るみになって欲しかったわ。
あとは犯人の犯行動機で一部飲み込み辛い点もあり、事件解決後も私はそこはやや強引に感じ、釈然としなかったのよ。
とは言え、ラストシーンは必見。ハッピーエンドとは言えないかもしれないけれど、とにかく素晴らしい締め括り方だと思う
■システム
コミックメーカー製なので画像を表示する際のウェイト部分が気になったわね。
あと会話のスキップが出来なかったりでテンポが遅めなのは否めないわ。多分周回プレイ前提のゲームだったら心が折れてしまう人が出たんじゃないかしら
■総評
私が初めて「ゲーム実況を最後まで続けられた作品」がこの作品よ。今まで十数個のゲーム実況にチャレンジしてみたけど結局短編しかクリア出来ず、長編は放ったらかしになっていたの。
この事だけでも、このゲームで私がどれだけ続きを気にしていたか分かるんじゃないかしら。
「かなり昔のゲーム+操作性が良いとは言い難い」という理由から万人にお勧めできる作品ではないかもしれないけれど、推理モノ好きな方々には是非プレイして頂きたいと思うわ
点数68点